誰もが安心して働ける職場へ 〜“対策”から“文化づくり”へ
こんにちは。 ここまで7回にわたり、医療・福祉の現場におけるハラスメント研修を、 いかに“負担”ではなく“支え”に変えていけるかという視点から、eラーニングによる「仕組み化」の考え方をお伝えしてきました。
この最終回では、あらためて私たちが目指すゴール、すなわち 「ハラスメントのない職場をつくること」ではなく、「誰もが安心して働ける職場文化を育てること」 について、お話しして締めくくりたいと思います。
ハラスメント対策は「終わる」ものではない
“ハラスメント研修”というと、「何か問題があったからやる」「1回受けて終わり」という印象を持つ方も多いかもしれません。 ですが本来、ハラスメント対策は一過性の施策ではなく、組織の文化づくりそのものです。
- 自分の言葉や態度をふりかえる
- 他者の違和感に耳を傾ける
- おかしいと思ったら立ち止まって共有する
- 対応に迷ったら相談する
これらすべては、日々の積み重ねによって育まれる「職場のふるまい」です。 その継続を支える手段として、教育や仕組みがあるべきなのです。
“防止する”ではなく、“備える”という発想へ
ハラスメントを完全に防ぐことは、どれだけ仕組みを整えても困難です。 人間関係の中で起きるグレーゾーン、感情のすれ違い、無意識の一言…… そうした「起こりうる」ものに対して、いかに備えるか、いかに動けるかが大切です。
そのために必要なのは、以下のような状態です。
- 職場に「何かあったときの基本対応」が浸透している
- 声を上げたとき、返ってくる反応が信頼できる
- 誰かが動くのを待たず、自分からも声をかけられる
- 相談する側もされる側も、お互いを尊重できる
→ つまり、“対応の型”を共有し、“行動の空気”を育てることが、研修の本質だということです。
教育は“文化をつくる仕組み”
ハラスメントに限らず、職場の雰囲気や人間関係は、「教育された内容」よりも「日常の空気」に大きく影響されます。 そして、その空気を変える最も強力な手段が、継続的な教育=習慣化された学びの機会です。
eラーニングは、以下の点で“文化を支える道具”になり得ます。
✔️ 毎年繰り返されることで「共通言語」が育つ
✔️ 新人からベテランまで同じ内容を共有できる
✔️ 視覚・音声・体験型の教材で“印象に残る”記憶が根づく
✔️ 過去の履修履歴が“行動の証拠”として蓄積される
✔️ 自分のペースで学ぶことで、“考える力”が育つ
→ こうした積み重ねが、“お互いを大切にする空気”という文化の基盤になるのです。
ハラスメント研修を「施設を守る手段」にしない
時に、ハラスメント研修は「問題が起きたとき、施設が責任を問われないようにするためのアリバイ」として扱われることがあります。 たしかに法的リスクを避けるために必要な対策でもありますが、それが目的になってしまうと、学びは形骸化してしまいます。
私たちが目指すのは、そうではありません。
ハラスメント研修とは、「支える人が安心して働ける」ための土台である。 その土台があるからこそ、「安心して支えられる」ケアや医療が成り立つ。
この発想を、研修そのものに宿らせることが、eラーニングによる文化設計の目的です。
ひとつの研修が、職場全体の風景を変える
私たちが関わったある施設では、eラーニングによるハラスメント研修を導入して半年後、 以下のような変化が起きたと報告されました。
- 「“これ、研修で出てきたやつだよね”という会話が増えた」
- 「“止める言葉”を自然に使えるようになった」
- 「相談した人が“ありがとう”と言われる空気ができてきた」
これは、教材の力ではなく、学んだ内容を共有し、繰り返し、実践する場があったからこそ生まれた文化の変化です。 eラーニングはその「小さな始まり」を支える仕組みにすぎません。 けれど、その小さな始まりが、確実に職場を変えていくのです。
最後に──あなたの職場の“文化”は、教育で育てられる
ここまで8回にわたって、ハラスメント研修とeラーニングによる仕組み化の可能性についてお届けしてきました。 この最終回でお伝えしたいのは、教育は人を変えるだけでなく、組織を変える力があるということです。
- 「対策」から「信頼」の構築へ
- 「義務」から「文化」への転換へ
- 「やらされ研修」から「自分たちの土台」づくりへ
あなたの職場でも、今この瞬間から、そんな学びがはじまるかもしれません。
連載をお読みいただきありがとうございました
この8回の連載が、ハラスメント対策を見直すだけでなく、 職場全体の「安心の文化」を育てる第一歩になれば幸いです。
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