受講管理が回らない 〜チェックだけの“研修済み”になっていないか?
こんにちは。 前回は、ハラスメント研修が「やらなければならないもの」であるにもかかわらず、現場にとって“負担”になっている構造的な理由についてお話ししました。
今回はその中でも特に多くの施設が直面している課題、すなわち「研修の受講管理が回らない」問題を取り上げます。 誰が、いつ、どんな内容で受講したのか──。 その確認ができないまま「研修済み」と記録されてしまっていないでしょうか?
「とりあえずやったことにしておく」が招く落とし穴
ある施設でこんな話を耳にしました。
「ハラスメント研修、今年もやったことにはなってるんですよ」 「何人か欠席したけど、資料配ったし“受講扱い”で報告しました」 「全員出席のはずなのに、内容を覚えている職員がいないんですよね…」
これらは決して珍しい話ではありません。 むしろ、多くの現場では「履修実態が曖昧なまま、形だけ残っている研修」が日常化しています。
ですが、もし何かハラスメントに関する問題が発生したとき、第三者(利用者家族、労基署、監査、裁判所など)にこう問われたら、どう答えられるでしょうか。
- 「その職員は、どのような内容の研修を受けていましたか?」
- 「その研修は義務的に全員が履修したという記録がありますか?」
- 「内容を理解し、対応できるレベルに到達していた証拠はありますか?」
「たぶん受けたと思います」「チェック表はつけました」では通用しない時代が、すでに到来しています。
管理者が直面する“3つの見えないリスク”
受講管理の曖昧さは、実は非常に深刻な3つのリスクを孕んでいます。
① “受講済み”と“理解済み”のズレ → 研修を受けただけで「分かった気になっている」ことが、行動のギャップを生む。
② “記録あり”と“実施実態”のズレ → 日付・名前は記録されていても、実際にその職員が受けていない/聞いていない可能性。
③ “管理しているつもり”と“管理できている現実”のズレ → 名簿、シート、Excelでの記録では、実態把握や継続的追跡が困難。
こうしたズレの累積が、「組織が対応していなかった」ことへの法的・社会的な責任追及につながるおそれがあります。
手作業では限界──「人が見て確認する」からの脱却を
受講管理の現場を支える研修担当者や事務スタッフは、シフトや出欠確認、記録票の取りまとめなどに多大な労力を割いています。
- 集合研修時に欠席者の対応が追いつかない
- 職員数が増えるほど手作業によるチェックは煩雑に
- 年度をまたぐと記録の所在や引き継ぎが不明瞭に
- 複数拠点・複数チームでは一覧管理が困難
つまり、「管理が大変すぎて、内容に集中できない」という本末転倒な状況に陥ってしまうのです。
そこで必要となるのが、「eラーニングによる受講管理の仕組み化」です。
eラーニングならではの“見える化”と“自動化”
私たちが提供するハラスメント研修eラーニングでは、以下のような「受講管理の手間を減らすための機能」が備わっています。
- ✔️ 職員ごとの受講状況をリアルタイムで一覧化
- ✔️ 研修単元ごとに「視聴済み・未完了・未着手」が自動分類
- ✔️ 理解確認テストの点数も履歴として記録
- ✔️ 受講リマインドメールを自動送信
- ✔️ 管理者用画面で履修漏れを一目で把握・対応可能
このような仕組みがあることで、「誰が、いつ、どこまで学んだか」がシステム上に可視化され、履歴として蓄積されるようになります。
管理者にとっては、「名簿とにらめっこしながら手書きでチェック」する作業から解放されるとともに、 法人全体としての“履修責任の証拠”を確保することにもつながります。
“点”で終わらせない、「履歴」で育てる職場研修
さらにeラーニングの強みは、「履修結果が年度を越えて活かせる」点にもあります。
- 去年は基礎編だけ、今年は医療・介護編を配信する
- 初年度は全員受講、次年度以降は新人対象+復習者選択型
- 受講履歴をもとにOJTの補強テーマを明確化
このように、研修が単発のイベントではなく、「連続性のある成長の記録」になることが、eラーニング活用の大きな意義です。
“一人ひとりの学び”を、“組織の備え”に変える
ハラスメント対策に限らず、研修は「職員一人ひとりが学ぶこと」が基本です。
でも、それを「組織として、ちゃんと育てている」と言えるためには、学びを可視化し、記録し、継続する必要があります。
eラーニングによる受講管理は、その3つすべてを支える仕組みです。
- “チェックのための研修”から、“育成のための研修”へ
- “負担になる管理”から、“成長を支える管理”へ
そうした研修の転換を実現するための、第一歩が「受講の見える化」です。
次回予告
次回(第3回)は、ハラスメント研修の本質でもある「現場の判断や対応の属人化」に焦点を当てます。
「誰かが何とかしてくれる」「その人の経験に任せる」だけでは続かない職場づくりにおいて、
どうすれば“行動基準”を組織として育てていけるのか──eラーニングの教材設計とあわせて考えていきます。
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