介護施設の現場ではよく耳にするこの言葉―― 「うちはOJTで育ててますから」
OJT、すなわち「On-the-Job Training」とは、現場での実務を通じて指導する育成方法です。
ベテランの背中を見ながら覚え、実践のなかでスキルを磨いていく。
たしかに、経験値がものをいう介護の現場には、理にかなった方法のように見えるかもしれません。
ですが最近、こんな声が新人から聞こえてくるのをご存じでしょうか。
「『OJTで育てる』って言われたけど、誰もちゃんと教えてくれなかった」
「“見て覚えろ”じゃ、何をどう見ていいかすら分からない」
OJTは本来、「業務の中で計画的に指導する」方法です。
しかし現実には、「とりあえずやってみて」「そのうち慣れるよ」といった、
丸投げのような指導に置き換わってしまっているケースも多く見受けられます。
新人が何をどこまで習得すればよいのか、
どの段階でどういうサポートがあるのか、
そうした“道筋”がないまま、日々の業務に放り出されている。
そして失敗すれば、「なんでそんなことも分からないの?」という叱責。
これでは、若い職員は「育ててもらっている」とは感じられません。
ただただ不安が募り、やがて「ここにはいられない」と感じてしまうのです。
現場の育成がうまく機能しない理由―― それは、OJTそのものが悪いのではなく、“仕組みとして整っていない”ことにあります。
次回は、「なぜ“教え方”が現場でうまくいかないのか?」 その根本にある3つの“指導力の不足”について解説します。
「OJTで育てているつもりが、実は“伝わっていなかった”…」そんな気づきから見直しが始まります。
今の育成スタイルに少しでも不安や違和感があれば、まずはお気軽にご相談ください。