その“当たり前”、本当に“常識”ですか? 〜文化の違いが引き起こすすれ違い
こんにちは。 この連載では、介護施設で働く日本人スタッフが、外国人スタッフとの共生を実現するために必要な視点や考え方を、eラーニングの教材構成とあわせてご紹介しています。
今回は「文化の違い」に焦点を当てます。 職場の中で「どうしてこんなことするの?」「え、そんなふうに受け取るの?」といった違和感を覚えた経験はありませんか? その“すれ違い”の背景には、文化的な常識の違いがあるかもしれません。
「そんなの、当たり前でしょ」がすれ違いの出発点
たとえば、以下のような場面を想像してみてください。
- 利用者に対して、外国人スタッフが「ねえねえ、ちょっと待っててねー」と声をかけた。
- 食事の配膳中に、スタッフ同士で笑いながら会話していた。
- 休憩中にスマホをいじっていたところを注意したら、「何がいけないんですか?」と真顔で返された。
どれも一見、些細なことです。 でも、日本人スタッフからすると「それは職場ではNGでしょ」という感覚がある。 一方で、外国人スタッフからすると、「え?どうしてダメなんですか?」と本気で不思議がっている。
この“温度差”こそが、文化の違いから生まれる摩擦の正体です。
文化は「見えない空気」──育った背景が違えば、“当たり前”も違う
私たちは無意識のうちに、「こうあるべき」という基準を持っています。 時間の感覚、上下関係の距離、仕事中の言葉づかい、表情、態度……すべてにおいて、「日本的な当たり前」が存在します。
でも、外国人スタッフはまったく違う文化の“当たり前”の中で育ってきたのです。
- はっきり自己主張するのが礼儀
- 先に自分の意見を伝えるほうが誠実
- 相手を名前で呼ぶのが親しみの表現
- プライベートを守るのが人間関係の基本
こうした背景の違いがあると、日本人の「礼儀正しさ」は“距離がある”と感じられ、 逆に外国人のフレンドリーさが“なれなれしい”と受け取られることもあります。
「違い=間違い」ではない。まず、背景を知ろう
文化の違いに直面したとき、つい「それは間違っている」と断定してしまいがちです。 でも、その行動や態度は、その人の国や文化では「正しい」「普通」「好ましい」とされているかもしれません。
たとえば、ミャンマーやベトナムでは、先輩後輩の関係よりも“横のつながり”を大切にする傾向があり、 上司であっても名前で呼んだり、意見を対等に述べたりするのが自然な感覚です。 また、休憩時間にスマートフォンを見ることも「情報確認」「家族との連絡」という意味合いを持つ場合があります。
だからこそ、まずは「なぜそうするのか?」という背景への理解が必要です。
異文化理解の第一歩は、「自分の文化」を相対化すること
意外に見落とされがちなのが、「自分たちの文化を疑ってみること」です。
- 「“空気を読む”って、日本独特のものかも」
- 「敬語の細かいニュアンスって、日本語の外にはないかも」
- 「“相手の気持ちを察する”って、どう教えれば伝わる?」
こうした“自分たちの常識”を一度相対化することで、「違うこと=悪いこと」ではなく、 「違うからこそ、説明しよう」「互いに歩み寄ろう」という姿勢が育ちます。
異文化理解は、「相手を変えること」ではなく、「自分が変わること」から始まるのです。
eラーニングでこそ伝えられる「違いの体験」
eラーニングでは、文化の違いを単なる知識として教えるだけでなく、視覚や音声を使って“体験”として学ぶことができます。
- 【事例動画】:「日本人なら怒る」「外国人はなぜ笑った?」などの対比事例を映像で学ぶ
- 【クイズ形式】:「この言動、どう感じる?」を自分で考えながら答える
- 【コメント共有】:受講者の声を集めて、「他の人はどう感じたか?」を比較
- 【再生・復習】:何度でも見返して、自分の理解のズレを確認できる
こうした機能は、「違いを理解する力」を深めるのに非常に有効です。 一方通行の集合研修では伝わりづらい“感覚の違い”を、丁寧に掘り下げられるのがeラーニングの強みです。
「違いを知る」ことが、信頼関係の土台になる
外国人スタッフとの協働は、「文化の違い」を避けて通ることはできません。 でも、それを恐れる必要はありません。
違いがあるからこそ、「教える側」にも学びがあり、 「違いを超えて理解しあう経験」が、信頼を深めるきっかけになるのです。
- 「これはこういう文化的背景があるのか」
- 「だからこう説明しよう」
- 「じゃあ、うちのルールも理由から伝えよう」
こうした一歩一歩の積み重ねが、「わかってくれる人がいる職場」につながっていきます。
次回のご案内
次回(第4回)は、「指示待ち?自己判断?──働き方の“距離感”が違うとき」と題し、 日本的な“忖度”文化と、外国人スタッフの“自律的判断”のギャップについて掘り下げます。
“勝手にやられた”“言わないとやらない”──そのすれ違いの正体を解き明かします。
