“研修を止めない”仕組みとは ~現場の継続を支えるeラーニング設計

こんにちは。
この連載では、医療・福祉の現場において求められるハラスメント研修を、どうすれば負担なく継続できるか、
そしてそれをどう「仕組み」として定着させるかという視点から、eラーニングの活用方法をご紹介しています。

今回は第7回として、「良い研修を“続ける”ための仕組み」について考えていきます。

「研修の内容は良かった。でも次がないんです」

研修の評価アンケートでは、「内容が分かりやすかった」「具体的で参考になった」といった声が集まることがあります。
しかし、そこで終わってしまえば、せっかくの学びも一過性で終わってしまいます。

「忙しいから後回しになっていた」
「受講対象者が変わって毎年同じ説明を繰り返すことに」
「進捗が分からず、管理者が声がけしても反応がない」
「年度替わりの引き継ぎで、“誰が受けたか”の記録が消えていた」

こうした状況が続くと、良い研修だったという印象すら残らなくなってしまいます。

そもそもなぜ継続できないのか?

「研修の継続」が難しくなる背景には、現場ならではのいくつかの事情があります。

主な要因現場で起こること
時間がないシフトの都合で一斉に受講できない。集合形式が難しい
管理できない誰がどこまで受講したかが把握できず、進捗確認が困難
優先順位が低い業務が立て込むと後回しになりがち。緊急性が伝わりにくい
引き継ぎが弱い担当者が異動や退職した後、研修計画が途切れる
教材の更新がない内容が古くなり、繰り返し学ぶ意義が薄れていく

つまり、「良い研修」以前に、「続けられる研修」になっていないのです。

継続できる研修=“仕組みがある研修”

ここで、eラーニングの出番です。
eラーニングは、“知識を伝える手段”であると同時に、“研修を継続させる仕組み”でもあります。

具体的には、次のような仕組みによって、運用の安定性と継続性を確保できます。

✔️ 受講者ごとに履歴を自動記録

✔️ リマインドメールで未受講者に通知

✔️ 管理者画面でリアルタイムに進捗を把握

✔️ 年度をまたいで履修履歴を引き継ぎ

✔️ コンテンツは定期的にアップデート可能

これにより、「教える」「受ける」「管理する」のすべてが継続できる形に変わります。

「忙しい現場」こそ、学びの“分割設計”が効く

eラーニングでは、コンテンツを細かくモジュールに分割して提供することができます。

たとえば1回の研修が、

  • 「イントロ(5分)」
  • 「ケーススタディ(10分)」
  • 「確認テスト(5分)」
  • 「振り返りチェック(5分)」

というように、合計20~30分程度の単元に小分けされていれば、スキマ時間でも学習が可能になります。

この設計によって、

  • 夜勤明けでも受けられる
  • 日勤と日勤の交代時間に学習できる
  • 忙しい週は「次週に持ち越す」が可能になる

→ 結果として、「やりきれる研修」「間に合う研修」になるのです。

管理者の業務も“仕組み”で軽減できる

研修担当者や施設管理者にとっては、「誰が受講したか」「完了していないのは誰か」「証明書をどう保存するか」など、
日々の業務の中で“研修管理”に追われてしまうことが少なくありません。

eラーニングなら、以下のような業務を自動化または簡素化できます。

✔️ 名簿連携による受講アカウント自動作成

✔️ 修了証の自動発行とPDF保存

✔️ エクセル出力で履歴の年度管理

✔️ 誰がどこまで完了しているかを一覧表示

✔️ 研修実施報告書として提出可能な記録書類も自動生成

→ 管理者の“手間をかけずに証明できる”仕組みがあってこそ、継続的な研修運用が可能になります。

「続けられること」こそが、安全な職場をつくる

ハラスメント対策研修は、一度受けたら終わりではありません。
実際の現場では、制度も価値観も、利用者の声も、刻々と変化していきます。

だからこそ、継続的な教育と、記録に残る履修が必要不可欠です。

  • 新人が入職したときに同じ教材でカバーできる
  • 何年も前の履修履歴が、リスク対応の証拠になる
  • 年度ごとの更新で、常に「今」の価値観に沿った学びができる

これらを支える仕組みがなければ、「研修をやったはずなのに守れなかった」が起こってしまうのです。

次回予告

次回(第8回)はいよいよ最終回。
eラーニングで研修を「仕組み化」することによって、
職場全体の文化や人の関係性までがどう変わっていけるのか、
“対策”にとどまらない、未来志向のハラスメント研修のあり方をご紹介します。

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