いま、なぜハラスメント研修が“現場の負担”になるのか?

こんにちは。
この連載では、医療機関や介護施設で働く皆さんにとって、より安心で健やかな職場を実現するための「ハラスメント対策研修」のあり方について、eラーニングを活用した新しい仕組みとともに考えていきます。

第1回のテーマは、「そもそも、なぜ今ハラスメント研修が現場にとって“負担”になっているのか?」という素朴で本質的な問いから始めてみましょう。

「やらなきゃいけない」研修なのに、気が重いのはなぜか

ハラスメント研修は、いまやあらゆる医療・福祉施設にとって欠かせない取り組みです。
パワハラ防止法の施行、患者や利用者の権利意識の高まり、職員のメンタルヘルスへの配慮など、社会全体が「ハラスメントに目を向ける」時代になりました。

にもかかわらず、現場の管理者・担当者の声を聞くと、こんな本音が聞こえてきます。

  • 「今年も研修やらなきゃ…でもスケジュールが組めない」
  • 「講師が来ても一方的な話で終わってしまう」
  • 「その日だけ受けたことにして、みんな何も覚えていない」
  • 「そもそも誰が受けたか、どうやって確認すればいいの?」

これらの声が物語っているのは、「必要なのは分かっている。でも、それをきちんと運用するだけの余裕や仕組みがない」という現場の現実です。

業務の隙間にねじ込まれる「義務」としての研修

現場で働く方々の1日は、想像以上に密度の高いものです。
急な対応、突発的なケア、会議、記録、家族対応……そこに「ハラスメント研修」という予定を差し込もうとすると、時間的にも精神的にも“余白”がありません。

実際に、多くの施設では以下のような課題が見られます。

  • シフト調整のための人繰りがつかない
  • 一部職員しか参加できず「全員研修」が実質不可能
  • 実施しても、「参加するだけ」で終わってしまう
  • 後日補講を設ける余裕がなく、“受講漏れ”が発生する

つまり、ハラスメント研修は現場の使命でありながら、現場の現実に合っていないのです。

“チェックだけの教育”が、かえってリスクを高める

法令や行政指導のチェック項目には、「研修を実施しているかどうか」が記されています。
そのため、「とりあえず一度やればよい」という意識に傾きがちです。

ところが、「やったことにして終わらせる研修」こそが、逆にリスクを高める温床にもなります。

  • 実際には内容を理解していない
  • 相談ルートや対応方法が浸透していない
  • 「形式だけ整えた」ことで、安心感だけが先行する
  • 問題が起きたとき、「研修したのに」という言い訳が組織の責任に跳ね返る

つまり、形だけの研修は、現場を守るどころか「危うさを覆い隠すベール」になってしまうのです。

「現場で活きる」研修に必要な3つの視点

では、どうすれば“実施するだけの研修”から脱却し、“行動につながる学び”に変えていけるのでしょうか。
現場に根づかせるためには、以下の3つの視点が欠かせません。

タイミングの自由度
 → 決まった日程に縛られず、空き時間で受講できること。

内容の即応性
 → 実際に現場で起こりうる状況を想定した、リアルな教材。

受講管理の確実性
 → 誰がいつ、どこまで受講したかが、正確に記録・可視化できること。

この3点をすべて実現できる手段として、いま注目されているのが「eラーニングによるハラスメント研修」です。

eラーニングならではの仕組みで支える研修設計

eラーニングと聞くと、「パソコンで動画を観るだけでしょ?」という印象をお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、現在のeラーニングは単なる動画視聴型ではなく、以下のような機能を備えた「学びのしくみ」として進化しています。

  • 視聴+理解チェックテストの連動
  • 自動リマインド機能で受講漏れ防止
  • 現場別(医療/介護/一般)で分かれた教材内容
  • スマホでもPCでも受講可能なマルチデバイス対応
  • 「学びの記録」として残る受講ログ・履歴管理

つまり、eラーニングは“現場の負担を減らしつつ、教育効果を高める”ための、実務的な「仕組み化」ツールなのです。

「現場のリアル」を起点にした研修を、私たちはどうつくるか

eラーニングを活用したハラスメント研修の設計において、私たちが最も大切にしているのは、現場職員の感覚・経験・リアルな悩みです。

  • 「なんとなく言い返せなかった」
  • 「“それ、違うよ”って言いたかったけど空気を読んで黙った」
  • 「相談しても“まあまあ”で終わってしまった」

こうした小さな“もやもや”に、気づき、言葉にし、対処できる力を育てること。
それが、私たちのeラーニング研修のめざす姿です。

次回予告

次回(第2回)は、研修実施後に誰もが悩む「受講管理」の現実に焦点を当てます。
“やったことになっているだけ”の研修記録──その曖昧さが組織リスクになる理由、そしてeラーニングが提供できる「管理の仕組み」について詳しくお伝えします。

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