すべての職員が「受けきれる」施設へ──完全履修のための道筋
こんにちは。第8回では、カスハラ対策研修を「一過性で終わらせないための仕組みづくり」についてお話ししました。
今回はその補足として、「そもそも全員が“研修を受けきれる”状態とは何か」について掘り下げてみたいと思います。
なぜ、「全員が受けられる研修」は難しいのか?
介護施設の現場では、「全員に必須研修を受けてもらう」という、当たり前に思える目標が、意外と高いハードルになっています。
よくある悩みは、次のとおりです:
- 忙しくて研修に出られなかった
- 中途採用者の受講タイミングが合わない
- シフト勤務で全体研修に参加できない
- 急な対応で途中退出せざるを得なかった
- 集合研修の受講履歴が把握できていない
つまり、「実施した」という側の満足感と、「受けた」という側の実感とのあいだにズレがあるのです。
“完全履修”とは、どういう状態を指すのか?
完全履修とは、ただ単に「全員が出席した」ことではありません。 次の3つを満たして、初めて本当の意味での「履修完了」と言えます。
1.受講の機会がすべての職員に平等に与えられている
2.受講の結果が記録され、進捗が把握できている
3.一定の理解度に達していると確認できる
このように、履修は“参加”ではなく“成果”として管理されるべきものです。
障壁①「時間がない」「集まれない」
研修が完了しない最大の理由が、現場の多忙さです。
- 日常業務の合間にまとまった時間を取れない
- 早番・遅番・夜勤が入り乱れ、全体で集まるのが困難
- 当日キャンセルが続出し、振替日程が組めない
こうした問題は、OJTや集合研修だけでは解決が難しいのが現実です。
障壁②「教材がない」「更新できない」
「研修はやりたいが、内容が古くて使えない」
「制度改正やカスハラ事例が変化しているのに、資料は数年前のまま」
そんな声もよく耳にします。
教材が不十分だと、研修そのものが形骸化し、
結果として「受けた意味がわからない」「理解が深まらない」状態になります。
障壁③「記録できない」「確認できない」
仮に研修を行ったとしても──
- 誰が出席したかを手書きで記録
- 理解度確認テストは口頭で確認のみ
- フォローアップの履歴が残っていない
これでは「誰が本当に学んだのか」がわからず、教育の実態が見えないまま放置されてしまいます。
eラーニングが実現する「完全履修」の条件
このような問題を一挙に解決できるのが、eラーニングを活用した履修体制の構築です。
ポイントは次のとおり:
- すきま時間を活かして、いつでもどこでも受講可能
- 途中入職者にも、同じ教材を即時提供できる
- テストや振り返りで“理解度”を定量化できる
- 履歴や記録が自動で蓄積され、管理者が把握できる
つまり、eラーニングは「時間・教材・記録」という3つの障壁を超え、完全履修の土台を整えるための仕組みそのものなのです。
「完了率=研修の質」を可視化する
教育の成果を評価するには、明確な指標が必要です。
たとえば──
- 受講完了率が〇%
- 確認テスト平均点〇点以上
- 自由記述への記載率〇%
こうしたデータを使って、研修の質・浸透度を客観的に判断できるようになります。
「全員が受けきれる」体制をつくるとは、こういうこと
- 誰もが平等にアクセスできる教材がある
- 進捗・理解度が見える化されている
- 受講が“管理”ではなく“支援”として運用されている
この状態こそが、まさに「すべての職員が受けきれる施設」の理想です。
そして、その実現を支えるのが── eラーニングによる「仕組み化された学び」なのです。
🔸締めのご案内
カスハラ研修を「誰かの努力」ではなく、「組織としての仕組み」で回していく。
これこそが、“持続可能な介護現場”への第一歩です。

