介護現場で新人指導に苦労している方へ。


「丁寧に教えているつもりなのに、なかなか伝わらない」「何度教えても、同じミスをされる」
――そんな経験、ありませんか?

その背景には、「教える力は、別のスキルである」という認識不足があります。

私たちはつい、“業務ができる人”=“教えるのも上手な人”と考えがちです。
しかし実際には、介護のスキルと“育てる力”はまったく別物。
料理がうまい人が料理教室の先生に向いているとは限らないのと同じです。

では、“教える力”とは何でしょうか。
ポイントは、次の3つに集約されます。

体系的な理解

たとえば、「食事介助を教える」と言っても、「こう持ってこう運んで」だけでは足りません。

なぜその姿勢なのか?
誤嚥を防ぐために気をつける点は?
利用者の状態によって配慮すべき点は?

全体の流れや原則が整理されていなければ、断片的な説明しかできず、応用も効きません。

言語化の力

自分が感覚的にやっている動作を「言葉で説明できるか?」――これが教える上での分かれ道です。

「この角度で支えると安定します」
「このタイミングで声をかけると、動きがスムーズになります」

こうした“言葉にする力”がなければ、「見て覚えて」で終わってしまい、伝わるものも伝わりません。

教え方の設計

どこから伝えるか?
どの順序で実演を入れるか?
失敗したとき、どうフォローするか?

これらは“教え方の技術”です。特に、相手の理解度に応じて伝え方を調整する柔軟さは不可欠です。

現場では、この3つの要素が欠けたまま、指導が行われているケースが少なくありません。

たとえば――

  • 「まずは見ててね」で始まるOJT(でも見てるだけではわからない)
  • 「何が分からないの?」と聞いてしまう(そもそも何が分からないのか分からない)
  • 「自分なりに考えて」と丸投げ(新人にはまだ難しすぎる)

こうした“指導のすれ違い”が、「分からない → 怒られる → 萎縮する → 離職へ」という悪循環を生んでしまうのです。

では、どうすればよいのか?
そのヒントは、「教える側も学ぶ」仕組みを整えることにあります。


次回(第3回)では、介護施設にこそeラーニングが合う理由、
そしてOJTとOFF-JTの組み合わせによる効果についてご紹介します。

どうぞお楽しみに。

「できる」と「教えられる」は別スキル。教える人の力も、学びで育てられます。
OJT担当者やリーダーの指導スキルを高めたい方に向けた仕組みもご紹介しています。


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