若手が育つ職場には、教育の仕組みがある
「採用しても、すぐに辞めてしまう」 「若い職員が続かない」 こうした悩みは、多くの介護施設が抱えている共通課題です。
その一方で、若手がしっかり育ち、定着している施設も確かに存在します。
両者の違いは何か?
それは「学べる安心感があるかどうか」です。
若手職員は「教わる環境」に敏感
近年の若手職員は、「とりあえず現場で覚えて」と丸投げされることに強い不安を抱きます。
「ちゃんと学べるのか」「サポートしてもらえるのか」
――
そこに確信が持てなければ、たとえ仕事に興味があっても、続けることは難しくなります。
これは甘えではなく、“育つために必要な視点”でもあります。 「どう教えるか」が曖昧なままでは、人は育ちません。
教育の仕組みが、「ここで続けられる」という安心をつくる
事前学習+現場OJT+定期的な振り返り。
こうした明確な育成ステップが整っていれば、
新人は「迷わずに歩ける道」を手にすることができます。
また、「理解度を可視化できるテスト」や「弱点に合わせた補習」など、 学びを継続できる仕組みは、本人の自信にもつながります。
こうして教育の循環が機能し始めると、 職員が「自分の成長を実感できる」職場へと変わっていくのです。
成長実感があるから、定着する
「もう少し頑張ってみよう」と思えるかどうか。 それは、今の自分に“伸びしろ”を感じられるかにかかっています。 だからこそ、継続的な教育は「離職防止策」であると同時に、「自己肯定感の育成」でもあるのです。
特に、未経験からスタートする人にとっては、 小さな成功体験の積み重ねが「ここで続けたい」という意欲につながります。
人が辞めない職場には、理由がある
「うちは何も教えなくても、現場で自然に覚えていくから大丈夫」 ――それは、かつての常識です。
今は、“教えるしくみ”がある職場こそが選ばれる時代です。
採用だけでなく、定着率を高めるためにも、 「入ってから何をどう学べるか」を見える形にしていくことが、施設運営の要になります。
次回(第8回 最終回)は、これまでのまとめとして、
OJTとeラーニングの連動によって実現する“学びの仕組み化”と、持続可能な教育体制の構築についてお伝えします。
OJTをより効果的に活かすためには、準備された知識の土台が欠かせません。