指導のばらつきをなくす「標準化」という考え方
「この人に教わるとわかりやすいけど、あの人は…」 「部署が違うと、まったく違うやり方で混乱する」 介護の現場でよく聞く声です。
教育が人によって変わる――それ自体が悪いわけではありません。
しかし、一定の水準を保つためには、「どの現場でも、誰が教えても、同じように伝わる」ことが必要です。
そこで出てくるキーワードが「標準化」です。
標準化はマニュアルを作ることではない
「標準化」と聞くと、マニュアルの作成や文書化を思い浮かべる方も多いかもしれません。
確かにそれも一つの手段ですが、実際には「誰が伝えても共通の理解が得られる状態」をつくることが目的です。
つまり、単に「記録に残す」のではなく、 「教える内容・伝える順番・注意点」を共有できるしくみを整えることが求められます。
そのために、eラーニングの活用は非常に効果的です。
「個人の教え方」に依存しない教材づくり
現場のOJTでは、どうしても「人によるばらつき」が避けられません。
経験豊富な職員が感覚で教える内容と、マニュアル通りに教える内容では、
受け取る側の理解度にも差が出やすいのです。
動画教材にしておけば、どの現場でも同じ内容を視聴できます。
また、注意点や背景知識も加えたストーリーで構成すれば、単なる手順の確認にとどまらず、
「なぜそうするのか」まで伝えることができます。
これは、教育の質を揃えるうえで非常に大きなポイントです。
動画+テストで、知識の共通化が進む
たとえば、「感染対策の手順」や「移乗介助の留意点」など、 どの施設でも共通して必要な知識を、動画と確認テストで標準化する。 この組み合わせにより、現場ごとのばらつきが減るだけでなく、 新人同士の理解度の差も可視化できます。
「誰が見ても、同じ理解が得られる」教材があれば、 現場の職員も「安心して任せられる」ようになるのです。
標準化された教育で“余計な不安”を減らす
標準化には、もう一つ重要な効果があります。 それは、新人が感じる不安や混乱を軽減できるという点です。
毎回違うことを言われる、教え方が人によってまちまち――
こうした環境では、新人は常に「どれが正解なのか」がわからず、
自信を持って動けなくなってしまいます。
「教わる内容がどこでも同じ」という安心感があること。 これが、早期定着やストレス軽減につながるのです。
次回(第5回)は、「ベテランの経験知を形式知に変える」ことをテーマに、 属人化から脱却するためのeラーニングの活用方法を探ります。
教育内容にばらつきがあると、新人も現場も混乱します。 誰が教えても同じになる「標準化された教育設計」に関心のある方は、ぜひご相談ください。