教育は「教え方」ではなく「仕組み」で変わる
介護施設では今、あらゆる現場で「人材育成」にまつわる悩みが聞かれます。
「新人が育たない」 「丁寧に教えても、すぐ辞めてしまう」 「教える人によって内容や質に差がある」
こうした声に共通しているのは、育成の仕組みが整っていないことへの危機感です。
とくに介護の現場では、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に頼りきりの教育体制が多く見られます。
先輩職員が、実務の合間に新人へ口頭で教える──。
この形そのものが悪いわけではありません。むしろ、現場での生きた知識や経験を直接伝えられる貴重な方法です。
しかし問題は、そのOJTが“属人的”になりやすいという構造的な弱点です。
「OJT頼み」の限界
たとえば、新人職員が先輩Aに教わった場合と、先輩Bに教わった場合で、 教える内容や伝え方、タイミングが大きく異なる。 本人の理解度ではなく、教える側のやり方に左右されてしまう――。
そんな現場の不公平さに、いつの間にか不満や不信感が募っていきます。
しかも、OJTの内容は記録されないことが多いため、 「何を教えたか」「どこまで理解したか」が施設として把握できない、という問題もあります。 こうした状態では、新人も、教育担当者も、そして管理者も、誰も安心して育成に向き合えません。
「誰が教えても、同じように育つ」ために必要な視点
ここで考えていただきたいのは、 「教育の成果は、教える人の力量に依存すべきか?」という問いです。
もちろん、優秀な指導者がいることは心強いです。
しかし、現場の人材は常に入れ替わります。
優秀な人に頼る育成では、持続可能性がありません。
大切なのは、“教える人によらず、同じ基準で新人が育つ仕組み”を整えることです。
そしてその仕組みこそが、動画と確認テストによるeラーニングです。
eラーニングがつくる“共通の育成スタートライン”
たとえば、入職1日目から見る動画が共通であれば、 どの先輩がOJT担当になっても、「これだけは事前に見ている」という共通認識が持てます。 これにより、教える側も「1から説明する手間」が減り、教わる側も「分からない不安」が減っていきます。
また、繰り返し視聴ができるため、 「その場で聞いたけど忘れてしまった」「聞き逃した」という問題も解消できます。
つまり、eラーニングは“教える時間”を生むための教育インフラ”なのです。
教える現場がラクになると、辞める人が減っていく
こうした仕組みが整うと、実は一番楽になるのは“教える側”の先輩職員です。 「忙しくて構ってやれなかった」という罪悪感から解放され、 「これを見ておいて」と安心して任せられる環境が整います。
教育が負担ではなく、“自然に回るしくみ”に変わると、 新人だけでなく、指導者のモチベーションや定着にも好影響を与えるのです。
次回(第2回)は、「OJTの前に、何を伝えるべきか」をテーマに、 事前学習とOJTの役割分担について、さらに深掘りしていきます。 「OJTを効果的に機能させるには?」とお悩みの方は、ぜひご覧ください。
OJTだけに頼る教育体制には、限界があります。
業務に追われながらも効果的な人材育成を目指すには、事前に学べる仕組みが不可欠です。
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