育成を“仕組み”として整えるために必要なこと
「教える内容が人によって違う」 「毎年、新人指導のたびに混乱する」 「誰が何を教えたか把握できない」
――そんな現場の声は、どこの介護施設にもあるのではないでしょうか?
それはつまり、「育成が属人化していて、仕組みになっていない」ということ。
ここを変えなければ、いくらOJTや研修に力を入れても、毎年“ゼロからやり直し”になってしまいます。
「現場まかせ」から「設計された育成」へ
人が育つ施設には、共通していることがあります。 それは、「学びの流れが設計されている」ことです。
たとえば――
- 入職初日:オリエンテーション動画+職場見学
- 初週:接遇マナー・記録の書き方のeラーニング
- 1カ月以内:実技のOJT+習熟度チェック
- 3カ月:フォローアップ面談と復習テスト
このように、“いつ・誰に・何を・どう教えるか”を明文化し、年間で設計しているのです。
「個人差」ではなく「全体最適」へ
OJTは現場の知恵が詰まった貴重な指導手段ですが、 同時に「誰が教えるか」によって内容や質にバラつきが出てしまいます。
だからこそ、eラーニングや動画を活用して、基礎部分を“標準化”することが重要です。
新人はまず、共通の教材で基本を学ぶ。 その上で、OJTで応用や実践を積んでいく。
こうすることで、どの先輩がついても育成のスタート地点が揃い、 教える側の負担も軽減されます。
LMSで「育成の流れ」を一元管理
さらに、LMS(学習管理システム)を活用することで、
- 誰がどの動画を見終えたか
- テスト結果はどうだったか
- 進捗は順調か、滞っているか
といった情報を一元的に管理できます。
これは、教育担当者だけでなく、管理者や施設長が「育成の全体像」を把握するうえでも極めて有効です。
現場と経営をつなぐ“育成インフラ”を整える
介護施設の教育は、つい「現場の工夫」でなんとかしようとしがちです。
でも、現場の善意に頼るだけでは、持続性がありません。 人の入れ替わりがある以上、“仕組みとして回る設計”が不可欠です。
eラーニングや育成マニュアル、LMSといったツールは、まさにそれを支える“インフラ”です。
次回(第7回)は、こうした育成設計をさらに進めて、「育成文化を施設全体で育てていく」ための組織づくりとマネジメントの視点についてお届けします。
どうぞご期待ください。
育成は“個人任せ”から“施設のしくみ”へ。
動画・テスト・LMSを使った教育設計で、OJTもスムーズに。